2017-10-15

2017年10月,東京恵比寿,「シンクロニシティ」展・「長島有里枝」展

  ここのところ,時間に追われる案件が一段落して,あちこち展覧会にでかけています。東京都写真美術館で見た2つの展覧会を忘備録として。
「長島有里枝 そしてひとつまみの皮肉と,愛を少々。」というちょっと変わったタイトルの写真展を見に行く。And a Pinch of Irony with a Hint of Loveは何か出典があるのだろうかと,図録をパラパラ見たけれど,言及が見当たらない。よく読めばよいのか,と思ったものの,そこまで情熱がわかない。いわゆる「ガーリーフォト」の人が中堅写真家になった,という第一印象が会場の最後まで続く。祖母が撮ったつるバラの写真をスイスの自室の壁にピンナップした1枚がよかった。それは写真家の本意からは大きく外れているのだろう,と自分の的外れな「写真の見方」を自覚しつつ。

 別のフロアでは「シンクロニシティ」展を見る。「TOPコレクション 平成をスクロールする」の秋季展。「シンクロニシティ」と言えば,30年近く前に菅啓次郎が訳した著書が話題になったなあ,と思い出す。調べてみたら,1989年に出版されたF.David Peatの著書だった。それは昭和の終わり,平成の始まりの頃の話だ。

 で,この写真展はタイトル通り,「平成をたどる」写真で構成されていて,同時代ではなく「平成回顧」の展覧会。もちろん,それが狙いなのだろうけれど,蜷川実花の鮮やかなカラー写真や金村修の東京モノクロ写真を見ていると,なんだか切実ではないのだ。遠くから眺めているような。今,写真美術館は平成を回顧する必要があるのだろうか,という身も蓋もない思いがわいてくる。

0 件のコメント: