東京都写真美術館で「夜明け前 知られざる日本写真開拓史 北海道・東北編」展を見てきました。ポスターもチラシも土方歳三の写真を全面に用いていて,なんとなく「幕末の志士たちの写真展」を期待して見に来ている人も多かったのではないか,という印象。入口の土方写真の前で記念撮影している若い女性も見かけました。
実際は日本における初期写真の所蔵を日本全国で地道に調査した結果の展示で,関東編(2007年),中部・近畿・中国地方編(2009年),四国・九州・沖縄編(2011年)に続くこれが4回目の展覧会。毎回地味な展示だけれど,銀板写真やアンブロタイプなどの古い写真はそれ自体の存在が魅力的で,一つ一つのものが持つストーリーに思いを馳せる楽しみがあります。
今回は明治初年のアンブロタイプの写真の一つに「消された人物と男性坐像」というのがあって,写っている人物が後から削り取られています。これは欧米では「写真に写っていると,その人物が亡くなったときに天国に行けない」という言い伝えがあるのと関係があるのでは,と解説に書かれています。成仏してほしくて写真の画像を消したのはその人物の家族なのだろうか,そして隣に座っている男性との関係は?「消された」という事実と痕跡だけが今,眼の前にあります。
蛇足ながら,土方写真は意外と目立たない展示。さらなる蛇足ながら,私は新撰組は斎藤一のファン。
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