連休初日に五反田アートブックバザールで買ったSWITCHの1997年12月号はなかなか収穫の1冊でした。ロバート・フランク+操上和美「北へ」は20ページの「PHOTO STORY」。文と写真は操上和美で,北海道を旅する被写体としてのロバート・フランクに凄みがあって息を呑みます。昨年11月,東京都写真美術館「操上和美 時のポートレイト」展で見た写真も掲載されています。
空港で「さあー,ホリデイだ」と言ったロバート・フランクの気取らないポーズや目を閉じて休む姿を捉えた操上和美の眼は,紛れもなく1枚の写真の存在を完成させようと狙うハンターの眼だ,と思えます。写真家がカメラを構えるその1日は決してホリデイにはなりえないのだろう。
そして次の特集記事の沢木耕太郎の文・写真による「天涯」には,1ページを割いてロバート・キャパを語る文章が掲載されています。リチャード・ウィーランによる伝記を訳した関係で,という前置きで,日本に滞在中のキャパのスナップや,キャパが撮影した日本の子供の写真のことなどが,思い入れたっぷりの文章で綴られています。沢木耕太郎の写真は,文章を書く人らしく読者を裏切らない写真だなあ,と。
それにしてもあっという間でもあり,長いようでもあった連休が終わり,日常の生活が戻ってきました。「みどりの日」は何日なのか,「振替休日」は「祝日」なのか,カレンダーで確認しないとよくわからない。今朝,身支度をしているとラジオから「さあ,次は夏休みだ」と威勢のよい声が聞こえてきて,こうして動く歩道の上を走ったり,止まったりしているところに抒情が生まれるわけだ,と半ば諦めるように呟いてみる。
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