横浜美術館で開催中の「Welcome to the Jungle 熱々!東南アジアの現代美術」展を見てきました。美術館入口へのアプローチにはストレリチアの植え込みが並べてあって,おお,東南アジアの気分が盛り上がるぞ!と思いきや,近付いて見ると造花でした。造花を飾るくらいなら,別に無くてもよいではないか,と思わずへそ曲がり根性が沸き起こる。
館内に足を踏み入れると,シンプルでスタイリッシュ(気恥ずかしい言葉だけど)な展示です。これはイー・イランの写真「スールー諸島の物語」。既視感を覚える海景も,近付いてみると不穏な空気が漂う。海の遊牧民を追ったザイ・クーニンの映像「リアウ諸島」は,視覚だけでなく聴覚にも訴えかけてくる。海の音,風の音。海に生きる人々の歌声。「何をしたいんだ?」とカメラに向かって問いかける声。
出展作家はシンガポール,マレーシア,フィリピン,インドネシア,タイ,ベトナム,ミャンマー,カンボジアの8か国25組です。アンケートに答える参加型の作品や,絵巻物のようなストーリーが描かれたレンゲなど意表をつくものもあり,確かに「多様な文化や価値観が共存し」(展覧会HPより)ているけれど,横浜美術館の洗練された展示空間に置かれてみると,「欧米の現代美術」の展覧会を見るのと見る側の意識としてはあまり変わらない印象です。
結局,「ジャングル」とか「熱々!」をこの展覧会に期待するのは,「東南アジアの現代美術」に対する単なる先入観なのではないか,とそんな風に感じてしまったのでした。
結局,「ジャングル」とか「熱々!」をこの展覧会に期待するのは,「東南アジアの現代美術」に対する単なる先入観なのではないか,とそんな風に感じてしまったのでした。
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