京都の夏は夕刻になっても猛烈な暑気。高麗美術館をあとにして,5月に初めて訪れてBlumenfeldの写真集を手に入れた古書店Books & Thingsを再訪しました。前回とても気になった本と,最近お店のHPで紹介されていて気になった本の2冊をゆっくり手にとって見てみたい。
1冊はAfrican Folktales and Sculptures(Pantheon)。前半にアフリカの民話のテキスト,後半にアフリカ彫刻の図版という構成の本ですが,この図版の撮影をしているのはWalker Evansほか数名の写真家です。それぞれの写真にクレジットはついていませんが,Indexを見ると“photo by Evans”のように撮影者がわかるようになっています。
あらためて図版のページをめくると,Evansの撮影したものと,いかにも美術館の図録写真のような写真とでは明らかに写真の力が異なっているのがわかります。店主の小嶋氏がとても丁寧に説明をしてくださり,Evansの他の写真集もたくさん見せてもらいました。そして最終的にこの本を購入することに。表紙がIfeの頭像なのも心が動いた理由の一つ。
もう1冊はNaked Flowers Exposedというタイトルの美しい写真集。おもにファッション写真を撮影する写真家100人が参加した花へのオマージュ写真集です。Herb Rittsの撮影したセピア調の美しい1枚がこの本の白眉。
見開きの右ページに写真,左ページにはタイトルや写真に関連した文章などが配置されています。Walter Chinという写真家の撮影した1枚(アマリリスを頭に飾る妖しい美しさの男性のポートレイト)にはThe true mystery of the world is the visible, not the invisible.というオスカー・ワイルドの文章が寄せられていて,ちょっとぞくぞく。
ところでお店のHPの紹介文には,この本に用いられているタイプフェイスに関する言及もあり,Futuraという名称のこのタイプフェイスは「ドイツのグラフィック・デザイナー Paul Renner が1927年にデザインしたシンプルで美しいタイプフェイスである」(Books and ThingsのHPより)とのこと。書籍や写真に対する店主の深い知識と美意識が隅々にまであふれる気持ちのよい店内で,外の暑さも忘れて時間を過ごしました。
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