講談社学術文庫の名著フェア2013の1冊。出版年は1997年です。翻訳は外山滋比古氏と槇未知子氏。米国での初版が1940年,この翻訳の底本は改訂版1972年の出版だから,時も場所も遠いところで書かれた本。にもかかわらず,現代の私たちにHow to Read a Bookというこの1冊が教えてくれることの,なんと深く示唆に富んでいることか。
「読書の意味」「分析読書」「文学の読み方」「読書の最終目標」という章立てを目次で見た瞬間,これはHow to Live a Lifeということかもしれないと腹をくくって読み進める。
情報処理的な「読み方」にもページが費やされているが,第3部の「文学の読み方」の章はちょっと趣が異なる。以下は「抒情詩の読み方」からの引用です。
「詩の読みかたは,第一に,一息につづけて読むことである。これは小説や戯曲の場合と同じだが,詩の場合は他のどれよりもそれが大切なのである。」
「第二に,繰り返し,また声を出して読むことである。目だけで読んだときには見逃しがちな語句も,耳を通せばはっきりとらえられることがある。」
「本当に詩を理解するには,繰り返し繰り返し読まねばならない。一篇の詩を味わうのは,一生の仕事である。(略)すぐれた詩は,汲めども尽きぬ泉のようなもので,何度読み返しても味わい尽くせるものではない。その詩を離れているあいだにも,読んだことによって,知らず知らずのうちに,多くのことを,われわれは学んでいるのである。」(pp.217-218より引用)
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