2013-06-07

2013年6月,東京恵比寿,BOOK Chapter 1

 恵比寿にあるMA2 Galleryで開催中の「Book Chapter1」と題された展示を見てきました。先日,京都で訪れた古書店Books & Thingsに案内ハガキが置いてあり,店主の小嶋康嗣さんもセレクトした本を出展されていると聞いて興味津々。

 ギャラリーの案内文には,「(略)本というテーマを9人の表現者に投げかけてみました。9 人の作品でライブラリーになったMA2 Galleryの空間をぜひお楽しみください」とあります。9人の表現者はほかに寺崎百合子,松原健,横内賢太郎,村田真など。村田真氏は評論だけでなく,実作も手掛けているとは知りませんでした。藤堂のガラスを使った本の彫刻はとにかく美しい。本とガラスの組み合わせにわくわくします。
  小嶋康嗣さんのセレクトした本は階段を上がった正面に。Westvaco 社から刊行されたAmerican Classic Book Seriesの中から4冊。あとでBooks & ThingsのHPを見ると全26巻が出展されたそうだけれど,展示替えがあったのだろうか,それとも私が他の本の展示に気づかなかったのだろうか(何たるおマヌケ)。

 HPによると,このシリーズはアメリカのグラフックデザイナーBradbury Thompsonが装丁を手がけて,1958年から1983年にかけて毎年クリスマスに出版社の顧客や友人たちに贈られた非売品らしい。古書店主がアーティストとは違うアプローチで「美しい本」を表現しているのだから,本の「姿」だけでなくやはり本の「宇宙」も味わいたいものだなあ,と思う。4冊の下から2番目はHenry JamesのDaisy Millerです。

 Henry Jamesは学生時代,米文学の講義でThe Portrait of a Ladyの原書購読がありましたが,今となってははるか忘却の彼方です。静かなギャラリーの2階にぼんやりと佇み,久しぶりにホーソーンやポーの短編を繙いてみようかとか,ノスタルジー以外の何ものでもない,大学の午後の教室や若き日の学友たちの姿などを思い浮かべたりした午後。

0 件のコメント: