2018-04-15

2018年4月,君子蘭の開花

  今年も美しく開花した君子蘭。しかし。原因はわからないのですが,毎年4鉢すべて開花するのに,今年はこの1鉢だけしか花芽をつけませんでした。。あまりのショックに寝込みそう(←どれだけ。。)この鉢は子株も健気に開花してくれたのが唯一の救いといったところ。来年は全ての鉢に咲いてほしいです。

2018-04-01

2018年2月~3月に見た展覧会の覚書

  面白い展覧会をいくつも見たのに,ちゃんと記録しておかないとどんどん忘れてしまう。2月に世田谷美術館で「ボストン美術館 パリジェンヌ展」を。ボストン美術館所蔵ということがミソ。「憧れ」という視点で集まった作品群を見ることは,日本人には感情移入しやすい。パリって素敵よね,という展覧会。それ以上でもそれ以下でもなかったかな。アンドレ・ケルテスやブラッサイの写真もこういう展覧会では鉄板ですね。
 
 3月には金沢21世紀美術館で「ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミュラー」展。こういうのが流行りの現代美術なのか,という認識を新たにした展覧会。それ以上でもそれ以下でもなかったな。久しぶりにレアンドロ・エルリッヒのプールの下に潜ってみた。
 東京国立博物館表慶館では「アラビアの道 サウジアラビア王国の至宝」展を。これは期待以上に素晴らしい迫力満点の展示に感激。時間も空間もとにかく壮大なのに,一つ一つが放つ魅力が強固で展覧会全体から放たれるエネルギーが1つの方向を向いているというか。写真撮影可だったけれど,興奮してピンボケばかり。9世紀ころの小さなガラス瓶たち。東洋館では「呉昌碩とその時代」展。「幽蘭図巻」がツボ。サウジアラビア展は会期延長されて5月まで開催されているそうなので,もう一度見に行くつもりです。

 
 小さいものつながりで青山の根津美術館では「香合 百花繚乱」展を。漆が魅力的。堆朱や堆黒の小さなものがほしくてたまらない。物欲をあまり感じなくなったと思っていたけど,無性に骨董市や骨董店めぐりをしたくなってきた。それにしても,根津美術館は海外からの観光客の人気スポットみたいです。日本美術を静かに優雅に楽しむ場所ではなくなってしまったのがちょっと残念。

2018年3月,東京初台,「谷川俊太郎」展

 オペラシティアートギャラリーで3月25日まで開催されていた谷川俊太郎展にでかけた。詩人の展覧会ということで,ゆっくり静かに詩の世界を堪能できるかと思いきや,大混雑。まさに老若男女問わずという感じで,ここにいる人たちそれぞれの「谷川俊太郎」がいるのだろうな,と思いながらそそくさと会場をまわった。
 
 絵本や翻訳も多い。「仕事」として言葉を紡ぐ人。数年前に飯田橋文学会の主宰する文学インタビューでも認識したのだが,「詩人という職業」の人なのである。
 私が中学生か高校生くらいのとき,「現代の詩人」といえば谷川俊太郎だった。年を重ねて,多くの詩を読み多くの詩人を知っていく過程で,なんとなく谷川俊太郎は過去の人になっていってしまった。展覧会場の一角にこれまでの著作を並べた書棚があり,その中の思潮社版「谷川俊太郎詩集」に思わず惹きつけられる。
 
 函も本体もヤケて,私が十代のころからずっと手元にある。書棚から埃をはらって,件のインタビュー時にサインしてもらった。今,パラパラと頁をめくっても複雑な感情しか沸いてこない。私にとって谷川俊太郎という詩人は何者なのだろう。
 
 「私のうそへ私は行き/私のうそから私は帰る/沈黙が私とうそとを隔てる時/枕が固すぎて私は眠れぬ夜をすごす」(私の言葉2より部分引用)(谷川俊太郎詩集p.418)

2017年~2018年3月,東京,お能の公演


  2017年に記録を残しておかなかったお能の公演を忘備として。櫻間会例会は4月に「葛城」,6月に「融」をいずれもセルリアンタワー能楽堂で。7月櫻間右陣の会で「杜若」(袖神楽素囃子)を銀座シックス観世能楽堂で。うーん。番組の内容は思い出しても,舞台がどんなだったかの記憶はおぼろげ。軽くショック。

 12月は国立能楽堂で現代能「マリーアントワネット」を。とにかく楽しみにしていた舞台。なんといってもスウェーデンの貴公子フェルゼンをワキ方福王和幸さんが演じる!マリーアントワネットは梅若玄祥さん。楽しく拝見しましたが,感想としては,お能はやっぱり古典がいいな。でした。12月には観世能楽堂で閑能会「通小町」も。

 そして年が明けて2018年2月は国立能楽堂で「近代絵画と能」というすてきな特集の最終回,「水底の彼方から」という魅惑的なタイトルのついた公演を堪能。番組は狂言「浦島」,能「玉井」で,「玉井」はシテ海龍王を梅若玄祥さん,彦火々出見尊を福王和幸さんというデジャブな組み合わせ(だから見に行ったんだけどね)。なんともスペクタクルな舞台で楽しかった!

 この舞台のイメージは青木繁の「わだつみのいろこの宮」です。余韻にひたっていたころ,ラスキン文庫からちょうどたよりが届きました。2017年11月の講演会「漱石とラファエル前派」の記録です。古田亮氏がまさにこの絵を取り上げていて,漱石が「それから」で言及している部分を引用しています。漱石は「それから」の代介に「自分もああいふ沈んだ落ち着いた情調に居りたかったからである」と言わせているのです。

 この日,国立能楽堂で高階秀爾氏のお姿も見かけました。いろんなことがするするとつながってきて,なんとなく気持ちのいい日々を過ごしたというわけ。国立能楽堂資料展示室では「能の作り物」展も。そして,3月花の便りのころに櫻間右陣の会で「山姥」を観世能楽堂で。お能の前に白洲信哉氏の「山姥と白洲正子」というトークもあり,贅沢なひと時を過ごす。