2024-02-23

読んだ本の記録,「和人は舟を食う」他

 長くこの場所を放置してしまっていた。思いがけず病床に伏して,時間はあっても思考はほとんど停止し,少し気分が良い時に頁を繰った本を忘備録として記録しておこう。内容についていずれ改めて文章にすることもあるかもしれない。

 「和人は舟を食う」(知里真志保 北海道出版企画センター 1985)。知里幸恵の生涯を描いた映画(カムイのうた)が公開中で,体調が恢復したらこれはぜひ見に行きたい。この本は確かアイヌの写真展を見に行ったときに参照図書として展示されていたもの。タイトルに惹かれ,池袋の古書市で見かけて嬉しくて入手したことを思い出す。1冊の古書には自分の物語があるのだ。

「詩人の旅」(田村隆一 中公文庫 2019)。既読のような気もしていたけれど,それは「インド酔夢行」だった。「詩人の旅」を読むことは「旅する詩人」を追いかける旅。

「新書版 性差の日本史」(国立歴史民俗博物館監修 インターナショナル新書 2023)。タイトル通り,展覧会を新書で見せるという書物。展覧会図録以外でこれだけ展覧会を楽しめるのは新鮮な驚きだった。

 小説は既読のものを何冊か読み返した。病める肉体には「知っている物語」が安心できる,ということなんだろうか。初読の小説は2冊のみ。「しをかくうま」(九段理江)と「共に明るい」(井戸川射子)。2人とも芥川賞を受賞したまさに「才気溢れる」若手女流作家だ。「しをかくうま」は面白かった。初めて多和田葉子を読んだときの驚きをちょっと思い出した。
 ここのところだいぶ恢復してきて,少しずつ思考も前向きになってきた。書は捨てないけど,外にも出よう。