2022-06-19

2022年6月,東京東銀座,「六月大歌舞伎 第二部」・「信康」

 


 ほんとに久しぶりの歌舞伎座。コロナ対策で客席の販売には制限があり,客席やロビーでの飲食も不可なので,「歌舞伎座で楽しむ」というワクワク感には若干欠けるものの,それを補って余りあるのが染五郎! 

 悲劇の武将は大河ドラマの役柄とも重なるからか,客席には若い女性が目立ち,「信康」が終わると次の「勢獅子」は見ないで帰る人も少なくありませんでした。演目の組み合わせの妙もあるので,両方楽しんでほしいなあ。と老婆心(!)ながら。

 染五郎はとにかく美しい。線が細いけど,まだ17歳。これからどんどん役者として成長していくのが楽しみです。何と言っても私は彼が金太郎くんとして初お目見えした舞台を見ておりますのです!

2022年6月,東京渋谷,「仏教絵画」「SHIBUYAで仏教美術」


 ここのところ心落ち着かない事情があって,あちこち出かけたり本を読んだりはしてるけど全然記録に残してませんでした。雨の日に深呼吸を繰り返して,少しゆっくり日々を振り返ることに。

 6月に入って渋谷で2つ,仏教美術の展覧会を見ました(どちらも会期終了してます)。「仏教絵画」は日本民藝館,「SHIBUYAで仏教美術」は松濤美術館で。どちらもすばらしい展示に心洗われる思い。

 民藝館のチラシには「柳宗悦は,造形物に美が宿る原理を仏教思想に求めました。特に浄土思想は,柳の思想形成に大きな影響を及ぼし」たとあります。「春日鹿曼荼羅図」には深く感動。

 松涛美術館は奈良博のコレクションからの名品展。おお,あの奈良博から精鋭(!)がやってくる。広大な博物館の中を半ば陶酔状態で歩き回るのも楽しいし,渋谷のこじんまりとした美しい空間で選び抜かれた名品をじっくり見るのも至福の一時でした。

 奈良博ではこの夏,當麻曼荼羅の展覧会があるらしい。行きたいなあ。

読んだ本,「見えない都市」(イタロ・カルヴィーノ)

 マルコ・ポーロがフビライ汗にさまざまな空想都市の報告をする。「見えない都市」(イタロ・カルヴィーノ 米川良夫訳 河出文庫)読了。「ここではないどこか」に旅するのは海外小説の醍醐味だけど,この本は「どこにもない場所」を旅した男が読者を導く。どこへ?「どこでもない場所」へ。

 ぞくぞくする報告を読み終えて,訳者によるあとがきがこのカルヴィーノの世界の意味を読み解く大いなる助けとなった。タイトルの配置,テクスト群の関係の密な編目。「(略)それでいながら,カルヴィーノは世界の意味を,隠された法則と秩序を探し続けねばいられない。もしも世界に〈意味〉がないのならば,我々が可能な〈意味〉を与えなければならない。」(p.221)

  ストーリーを追う小説ではないので,心に残る文章に付箋を残しながら頁を繰ると,付箋だらけになってしまった。「都市と死者 2」より。「私はこう考えました,『恐らくアデルマは,死ぬときにやってくる都市なのだ。そしてここではだれもが自分の知っている人たちと対面するのだ。これは,私も死んだというしるしなのだ』と。そして私はこうも考えました。『あの世は幸福な所ではないというしるしでもある』と。」(p.125)

2022-06-05

2022年6月,パフィオペディルムの開花

パフィオペディルムが咲きました。妖しく美しい花の姿は,いつまでも見飽きるということがありません。