2017-01-28

2017年1月,福岡大宰府(1),天満宮の梅

1泊2日の短い日程で福岡旅行を楽しんできました。お目当ては太宰府にある九州国立博物館です。福岡は2度目ですが,前回は台風の接近(というか直撃)でやむなく日程を短縮し,九博には行けなかったのがずっと心残りだったのです。

 念願の訪問がかなってとてもうれしい!特別展の「宗像・沖ノ島と大和朝廷」展も心待ちにしていた展覧会です。まずは大宰府のほころび始めた梅の花。

2017-01-18

2017年1月,信州で買った蘭の開花

  昨年12月のこと,信州上田に日帰りででかけてきました。おいしいおそばを食べ,天然酵母のパン,珍しい果樹のジャムなどたくさん買い込んで,新幹線に乗り込む直前に駅前の花屋さんでつぼみをつけた原種の蘭の一鉢を求めました。名前はわかりませんが,思ったよりも濃い色の花が開きました。清楚なようであり,妖艶なようでもあり。

 上田には昨年の大河ドラマに出演していた某俳優さんのトークショーを聞きにいったのでした。昨秋からいろいろ厄介なことを抱えているので,本当に楽しい息抜きになりました。上田市立博物館では特別展「大阪の役と語りつがれる真田」展を。

 上田にはおしゃれな古書店が何軒かあるようです。今回は時間がなくて行きませんでしたが,また季節のよいときにふらりとでかけたい街です。

2017-01-09

読んだ本,「静かな大地」(池澤夏樹)

 昨秋から抱えるようにして読んできた「静かな大地」(池澤夏樹著,朝日新聞社 2003)をようやく読了。抱えるように,というのは文字通りで,本の厚みも5センチを超えようかという,600頁超の大著だ。
  「明治初年,北海道の静内に入植した和人と,アイヌの人々の努力と敗退。日本の近代が捨てた価値観を複眼でみつめる,構想10年の歴史小説」と帯に書かれている。そうだ,アイヌは決して歴史の勝者ではないのだ。

 昨年一年間,夢中で見ていた大河ドラマも敗者の物語だった。ただ「美しい」などという言葉では括れない,人間の生と死がここにもある。

 ストーリーはそれほど複雑ではなく,淡路島から入植した三郎と志郎の兄弟が,アイヌの少年オシアンクルと親しくなる。そしてやがて三郎はアイヌの力を借りて牧場を経営するようになる。アイヌは狩猟の民だ。馬の扱いに長けている。 しかし,その牧場はアイヌをよく思わない人たちや利権の争いに巻き込まれてやがて悲劇へと向かう。

 兄のあまりに哀しい死に直面した志郎はこう言う。「両の手でしっかりと握った筒先を心臓に向けたのだろう。/そういうことで兄が失敗するはずがない。/(略)/私はみなを連れてくるようニプサタに言い,兄が見えるところに腰を下ろした。そうやって,ずっと死んだ兄を見ていた。/私は心が石になったように,何も感じなかった。」(pp583-584)

  私もまた,深い慟哭へと突き動かされるわけではなかった。それが「敗者の歴史」であることを予め知っていたからだろうか。それとも,北の大地の自然の中に一人置き去りにされたからだろうか。それは不思議なほど,「静かな」読後感に満たされたのだ。

 アイヌの人たちへの関心は,ずっと以前に函館市北方民族資料館を訪れて,深く静かに感動して以来ずっと心の片隅に持ち続けている。今年は機会を見つけて北へ向かうことができれば。