2018-02-02

2018年1月,横浜桜木町,「石内都 肌理と写真」展

 年が明けて1月は本当に厳しい寒さだった。あれこれと用事がたまる一方で,雪かきはしなければならないし,続いてやってきた大寒波で水道管は凍結するし。一体これは何の罰ゲームなんでしょうか,と呟きながらバケツを運ぶ日が3日ほど続いた。蛇口をひねると温かいお湯が出てくる幸せと,いつまた寒さで凍結するかという恐ろしさに,なんだか落ち着かない精神状態の日々。
 
 横浜美術館で石内都「肌理と写真」展を見てきた。美術館前の水面に冬の空がまぶしい。
 
 大学では織物を学んだという写真家の撮る写真は,じっと目を凝らしてその「肌理」を見つめることにこそ魅力があるようだ。だから,初期のモノクロームの廃墟のアパートメントなどは,コンクリートの表情1枚1枚に詩が溢れていて心打たれる。デビュー作の横須賀ストーリーもまとめて見たのは始めて。迫力に圧倒される。
 
 
 しかし,近年の亡き人々の遺品を撮影したシリーズは,その被写体の後ろの「語り」の重さが私には重すぎる。見ていて辛かった。展示室はとても美しい造作が施され,女性たちの着物の部屋はシルバーの壁が新鮮。写真家は桐生市生まれということで,銘仙のモダンな美しさへの親密な眼差しが伝わってくる。
 
 コレクション展では所蔵のシュールレアリスム作品を一同に堪能できる。楽しかった!マックス・エルンストの1956年刊行(パリ ベルグリュアン画廊)の「博物誌:未刊の素描」が嬉しかったです。ちなみにこのブログのタイトルはこの中の1枚から。 

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