2023-01-27

2023年1月,横浜関内,「星の王子さま サン=テグジュペリからの手紙」

 久しぶりにKAATに出かけてダンス公演を見てきました。KAATと言えば,夢中で見た首藤康之の舞台が思い浮かびます。この「星の王子さま」を見に行ったのも出演者に小尻健太の名前を見つけたのが一番のきっかけだったかも。首藤康之,中村恩恵と共演した彼の舞台の鮮烈なイメージを思い出したのです。

 しかし幕が開くとすぐにそこには「星の王子さま」の世界そのものが立ち上がり,それぞれのダンサーへの先入観やイメージは消えて,操縦士や赤いバラ,キツネやヘビなどなど物語世界に登場する彼ら/彼女らが肉体を持って舞台上を駆け巡る! 星の王子さまはアオイヤマダの肉体を得てそこに存在している!

 演出・振付・出演の森山開次の舞台を見るのは初めて。子どもに向けたようでありながら,深い思索をたたえた原作世界をダンスで表現して客席を満員にしてしまう(しかもKAAT全公演が完売らしい)力に感服です。深い余韻を残して2時間余りの公演はあっという間に終わりました。

 原作はちゃんと覚えていなかったけれど舞台を見ればわかるかな,と思っていたのが唯一の心残り。ヒツジの箱やバオバブの木の面白さ,そしてようやく見つけた砂漠の井戸の美しさは原作世界が読者に促すイマジネーションをそのまま具現化したものだ,と読み返して気付きました。先に読み返してから見ればよかった。

 あまりにも有名なキツネの言葉「かんじんなことは,目にみえないんだよ」。でももう一度見たいなあ,とそんな気持ちになる舞台でした。ブラボーの一言。

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