2014-10-21

2014年10月,福岡市博物館・福岡アジア美術館,金印と福岡アジア美術トリエンナーレ2014

 まだ台風が近付く前で,気持ちのよい秋空が広がっていた午後,博多駅前から福岡市博物館まで路線バスを利用して出かけてみました。路線バスなのに,海岸線は都市高速を走る!海の向こうはすぐ朝鮮半島なわけで,バスの車窓に広がる風景はなんとなくアジアな雰囲気を感じます。博物館エントランス前の広場が水平に広がる感じも大陸っぽい(独断です)。
 目的は志賀島出土の金印「漢委奴国王」です。小学生の頃から画像として刷り込まれているけれど,実物を前にしたときは思わず鳥肌ものでした。そうか,こんなに小さいのか。今もまぶしい輝きを放つ小さな塊が,この国の成り立ちを物語っていることを丁寧でわかりやすい展示パネルや関連展示をたどりながら学ぶことができます。
 
 いやあ,こんなに感激するとは。東京国立博物館で開催中の国宝展にも期間限定で出品されるということなので,また見にいきたい,でも大行列になるかな,と思いを巡らしています。
 
 さて,福岡市の中心部に戻って「福岡アジア美術トリエンナーレ2014」が開催されている福岡アジア美術館も訪ねてみました。
 「アジアの現代美術」というのは私にとってはすでに一つのジャンルとしてあって,この日もそれほど新鮮な驚きというのはなかったのですが,いくつか心に残ったものを。ミャンマーのミン・ティエン・ソンの「異界(戦車)」。福岡で製作されたもの。複雑からシンプルへという軽やかな転換が面白かった。
 
 ペマ・ツェリン(ブータン)の「時の音」という短い映像は,何も事件が起こるわけではなく,淡々と始まって淡々と終わります。完璧なまでに素朴に「作られた」作品です。ブータンという国への憧憬もあって,とても印象に残る作品でした。
 
 この展覧会のタイトルは「未来世界のパノラマーほころぶ時代のなかへ」。会場に溢れる「どこかなつかしい未来」の持つエネルギーに圧倒されて時間を過ごしました。そして,福岡とアジアの距離感は,関東のそれとは比較にならないほど近いのだ,ということも実感。


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