2021-03-16

2021年3月,東京根津,田淵由美子展

  中学生くらいまでよく少女漫画を読んでいて,当時「りぼん」という雑誌に夢中でした。弥生美術館で「田淵由美子展」が開催中と知って,おお,なんて懐かしい!と足を運んでみました。職場からすぐ近くです。気持ちのよい午後に半日の休暇を取りました。ぶらぶらと根津方向へ。

 池之端に移転した古書ほうろうにちょっと立ち寄るつもりが,店先の100円均一コーナーが充実していてどっぷりつかまってしまう。デュラスの「破壊しに,と彼女は言う」(河出海外小説選 1978)は文庫版しか持っていないのでうれしい。「茶と禅」(伊藤古鑑 春秋社 1974)は茶室掛物禅語の索引があって,これは便利。ほかにも小説や新書など。リュックがずっしり重くなってしまう。

 さて,弥生美術館。同年代とおぼしき女性もいれば,若い男性の姿もあってちょっとびっくりです。展示は原画がメインで,雑誌や付録なども。夢中になってたのはキャリアの初期のころみたいで,展示の中盤から後半にかけてはほとんど知らない作品でした。

 で,「懐かしい」という感慨しか湧いてこないかと思いきや,だんだん胸がつまってきてしまって最後は逃げ出すように会場を後にしました。楽しかったことばかりでなく思春期の悶々とした悩みや周囲の人たちへの負の感情とか,甦ってくる記憶の量と内容が重たすぎるのです。

 「記憶」に刻まれた「イメージ」。写真のように一瞬を切り取るのとはちがう意味で,時間や想念が閉じ込められていたのかもしれない。

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