2013-12-04

2013年11月,東京本郷,遺跡見学会

 先週のこと,東京大学本郷構内の遺跡見学会に参加してきました。総合図書館の書庫増築工事に伴うものです。現在確認されているのは,江戸時代の加賀藩上屋敷跡,近代の東京帝国大学の旧図書館跡などです。

 発掘作業が進められている傍らで,実際に現場へ降りて説明を聞きながら見学をすることができました。これは旧図書館の玄関・書庫の基礎部分。灰が大量に発掘されたそうです。これはきっと70万冊の蔵書が火災で焼けたものだろう,という説明にちょっと震える。灰となってずっと眠っていた書物。ここは書物の墓場だったのか。重機類の色がかっこいい。(カメラを忘れたので職場のコンデジで撮影。)
 
  江戸時代後期の溶姫の御殿に伴う長局(女中の居住するところ)があった場所からはかんざしや銅鏡が,さらに江戸時代前期藩邸の家臣の空間の地下室やゴミ穴からは生活道具や武家儀礼の道具などが出土しているとのこと。これは銀(錫?)製の煙管です。(そういえばアムステルダムのパイプミュージアムには日本の喫煙道具の展示はあっただろうか。)
 
  儀式に用いられた素焼きの道具類は完全な形です。神聖なものとして毎回新しいものが使われるために,壊れていない状態で捨てられて,当時の姿のまま私たちの眼の前に現れた,というわけ。

 歴史の断層を見つめているんだ,という感慨は,博物館に陳列されているものを見るのとはまったく別の感覚でした。時間の流れと空間の堆積を体感して,見学会からの帰路はなんとなく,自分の歩く方向の前後左右上下の感覚がおぼつかない。

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