2014-08-11

2014年8月,インド(2),デリー・インド門/フマユーン廟/クトゥブ・ミナール

 デリー観光はインド門から。第一次世界大戦で戦死したイギリス領インド帝国の兵士を追悼するために,パリの凱旋門を基に設計されたというモニュメントです。最初の観光ポイントということもあって,ふむふむ,くらいしか感慨がわかない。周囲はきれいに手入れされた庭園が広がります。
 
 次に向かったのがフマユーン廟。ムガール帝国二代皇帝フマユーンの墓廟です。1565年建設,のちにタージ・マハルの祖型になったというイスラム様式の壮麗な建物というのがガイドブックの説明。おお,インドに来たな,という感じ。デリーは気温は日本の夏とさほど変わらないけれど,陽射しと湿気が強烈です。

 そしてデリーで3つ目の観光はクトゥブ・ミナール。これは中世北インドに侵入したイスラム教勢力が建立したモスクと尖塔などの遺跡です。13世紀初の建立ということ。もともとあったヒンドゥー教の寺院を破壊した石材を使っているので,ヒンドゥーの神々の像がえぐられた跡があちらこちらに見えます。尖塔の外壁にはコーランの文字が刻まれています。
 
 ゆっくり3か所をめぐってターリー料理(思ったほど辛くない)の昼食の後は一路アグラへ向かいます。
 
 さて,イギリス領インド,ムガール帝国の栄光,ヒンドゥーの寺院の痕跡。ほんの短い時間でこの3か所を回ったわけだけれど,途中,美しく整備されたニューデリーの官庁街から,サウスデリーへ近付くにつれてあまりに混沌としてくる(そして驚くほど汚い)街並みを車窓から眺める。車はクラクションを鳴らすのが礼儀だといわんばかり。車道上の牛には5分くらいで驚かなくなりました。
 
 堀田善衛「インドで考えたこと」(岩波新書)を繰り返し読んでみて,このわずか数時間の経験は何だったのか,おぼろげながら教えられた気がしています。
 
 「要するに『永遠』なんだ,これはまったく始末におえんわい」(P.42)
 「歴史は直線的なものなどでは決してなくて,様々な次元が,古代の次元,中世,近世,近代などの諸次元が重層をなしていて,その切り口である現在という次元,現在という断面には,あらゆるものがむき出しになっている,そういうものではなかろうか。」(pp.44-45「抽象的第一日」より引用)

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