2016-07-03

2016年7月,手に入れた古い絵,山本直彰の日本画

 今週半ばから,短い休暇をとってベトナム中部に旅する予定です。ところが,なぜか先週来,身体のあちこちにトラブル続きで,ここ数日はとにかくおとなしくして体調の回復に備えるばかり。旅の準備ももっぱらあるもので済ませておこう。
 そんなわけで,旅の情報収集と称してネットで時間を費やすうちに,なぜかネットオークションで見つけてしまった。大好きな日本画家の山本直彰氏の小品です。抽象画へ向かう以前は人物画など具象も手掛けていた作家ですが,手元にある画集や,平塚市美術館での個展(2009)の初期作品にも似たものは見当たりません。ごく初期のものなのか?サムホールサイズの掌品です。
 
 額は少し傷みがありますが,裏面に落款印の入った票が貼付されているのでこのままにしておこうかと思いつつ,開けてみると,B5判レポート用紙が挿入されていて,作家がこの風景を前にしたときの短い感想が書かれています。紙は変色していて,やはりかなりの年数が経過していることがわかります。
 
 西インドのサンチーを訪れてこの遺跡に惹かれた,としたためられた文面は,まるで私信のよう。経緯はどのようなものであれ,私の手元に届いたこの作品が,あたかも作家からの贈り物であるような錯覚を覚えて,くらくらしてしまう。
 
 そしてまた,ああ,若いころはインドへの傾倒もあったのか,と驚きました。プラハでの滞在の印象が強いために,勝手に日本と西洋世界という図式で作品を見ていた自分の浅はかさが恥ずかしくなります。
 
 遺跡の上に広がる空の青色がどこまでも美しい。「さあ,此処へ」とどこからか私を呼ぶ声に耳を傾ける。

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