2016-07-23

2016年7月,ベトナム(2),ダナン・チャム彫刻博物館

 ベトナム中部のダナンへ行ってみたいと思ったのは,「パレオマニア 大英博物館からの13の旅」(池澤夏樹,  集英社 2004)を読んで以来のこと。ヴェトナム編「チャンパという奇妙な国」に出てくる砂岩の獅子像は「猥雑で,豪放磊落,とても滑稽」と形容され,「チャンパはいいぞ」と書かれているのです(p.186より)。同書の旅をする男はニャチャンへ向かいますが,調べてみると,チャンパの王国の遺跡であるミーソンからの出土品など,状態のよいものをまとめて見ることができるのはダナンのチャム彫刻博物館Danang Museum of Cham Sculptureのようです。
 
 で,旅の2日目早朝。なんと朝7時から開館ということ。一歩建物に足を踏み入れると,そこは別世界のよう。確かにユーモラスな姿の彫刻があふれているのですが,チャンパの聖地ミーソンに祀られていたヒンズーの神々や,Dong Duong Monastery出土の仏像,動物像,どれも生命力にあふれ,窓から差し込む強烈な日差しを浴びて神々しいまでに美しい。
 
 「パレオマニア」で取り上げられていたあっかんべー(!)をしている獅子像の類品。建物の支えだったらしい。「だいたい,最盛期のクメールの王都であるアンコール・ワットまで川を遡って攻め込んだとはずいぶん元気ではないか」(p.186)と書かれたチャンパ王国に思いを馳せます。行程4日目のミーソン遺跡がますます楽しみになってきました。
 博物館は展示スペースの改修が重ねられているようで,天井も高くドラマチックな展示は想像以上に美しいものでした。博物館はドラゴン橋のたもとにあります。ベトナム語,英語,フランス語のサインが出ています。

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