2017-10-22

2017年10月,東京初台,「単色のリズム 韓国の抽象」展

  初台のオペシティアートギャラリーで「単色のリズム 韓国の抽象」展を見た。チラシの李禹煥にノックアウトである。ただ,彼の作品群を「韓国の単色画」として見たことはなかったので,こういうグループ展(と言っていいかどうかわからないが)の中の一人の作家の作品として見ると,新鮮な感激を覚える。
  「単色画(ダンセッファ)」という用語があることも知らなかったが,2015年にヴェネチアで開催された大規模な展覧会がきっかけで再評価されているのだという。そして,国内では寺田コレクションの中核の一つとしてまとまったコレクションがあるというのは全く未知のことだった。
 
 会場では,このギャラリー空間にぴったりと収まる作品群に圧倒される。「極限までそぎ落とされたミニマルな美しさ」とチラシにあるが,「そぎ落とされた」ものとは何だろう。どの作家の作品もそれぞれ魅力的で,こういう抽象画に対峙していると,作家の内面世界,そしていやでも「自分」に意識が向かっていくのを感じる。
 
 久しぶりに,心地よい緊張を味わった展覧会だった。家に帰り,李禹煥の著作を探す。書棚にあったのは古色蒼然としたこの2冊。「立ちどまって」(書肆山田 2001)は数年前に京都の古書市で買った詩集である。
 
 「しばらく空を眺めてから/君を見たり/本を見 樹を見ると/みんな空の色だ//しばらくして再び空を眺めると/君が見え/本が見え 樹が見えて/みんな自分の色だ//目を閉じて思うのだが/空の色でものを見/ものの色で空を見ている/私はどんな色だ」(しばらく空を眺めて pp146-147)
 
 オペラシティアートギャラリー2階では「懐顧 難波田龍起」展を。近くの文化学園服飾博物館では「更紗のきもの」展。



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