2013-02-20

2013年2月,横浜みなとみらい,「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」

  横浜美術館で開催中の「ロバート・キャパ/ゲルダ・タロー 二人の写真家」展を見てきました。キャパについては横浜美術館の常設展示室でも有名な写真を何度か目にしてきたし,なんとなく「知っている」気分でいたけれど,実は何も「知らなかった」のだ,と認識した展覧会。

 そもそも「ロバート・キャパ」は本名ではなく,アンドレ・フリードマンとゲルダ・タローが作品を売り出すために考え出した,いわば架空の写真家の名前だったということ。この展覧会は二人のそれぞれの「個展」という形で構成されています。

 私が訪れた週末は,直前にNHKで沢木耕太郎氏がキャパの「崩れ落ちる兵士」についての新説を紹介する番組が放送された影響もあったのか,会場は大変な混雑でした。

  ゲルダの展示はヴィンテージ・プリントが多く,やはり時間がそのまま止まったようなヴィンテージの質感は感情移入しやすい。この時代,重いカメラを手に,戦場を駆け回って,兵士を,戦いを,そして遺体を撮影した女性の生と死に胸がしめつけられます。

 キャパのコーナーは展示されている写真の数も多く(193点),会場の熱気にのまれてしまい,足を前に運ぶのがやっと。購入した2冊セットの図録には,キャパにはネガが7万点近く残されているとあります。すべてが写真家キャパ/フリードマンの人生なのだと思うと,ゲルダが撮影したという説のある「崩れ落ちる兵士」にしても,現像助手のミスでネガの大半が失われたという「Dデイ」にしても,1点ずつのドラマチックなストーリーはあくまで断片的なものに思えてきました。

 ずいぶん前に読んだ「ちょっとピンぼけ」(ロバート・キャパ著,文春文庫 1979)も読み返してみよう。

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