2012-10-15

2012年10月,埼玉北浦和,「日本の70年代 1968-1982」展

 北浦和の駅前,気持ちのよい公園の中にある埼玉県立近代美術館に「日本の70年代 1968-1982」展を見に出かけました。70年代の精神を,美術,写真,建築や雑誌,書籍,ポスター,レコードなどのデザインで振り返る展覧会。

 まず,大阪万博の「せんい館」にはびっくり。こんなパビリオンがあったのか。展示室には四谷シモン作の「ルネ・マグリット風の男」の現物が一体,展示されています。黒の山高帽と黒のフロックコートを身にまとった2メートルくらいの老紳士。横尾忠則デザインの建物の真紅のロビーにこの大男がずらりと並んだ様を想像するだけで,眼の奥がくらくらしてきます。

 写真はprovoke(1968年発刊)の時代。展示ケースの中にはprovoke 1, 2, 3号や,「写真よさようなら」(森山大道,写真評論社 1972),「来たるべき言葉のために」(中平卓馬,  風土社 1970)などなど。関わりのある写真家の展覧会でよく展示される資料ですが,1970年代という時間軸の中で見ると,なるほどこういう時代の中で写真家たちはこういう写真を撮っていたんだ,とわかった気分になります。

 中平卓馬がジャケット写真を撮影した安田南のLPレコード(SUNNY)は初めて見ました。あまりのかっこよさに,これまたくらくらしてきた。「なぜ,植物図鑑か」がちくま学芸文庫で復刊されたり,「来たるべき言葉のために」がオシリスから復刻されたりしていて,もちろんそれらも手に入れたいけれど,やはり時代の空気をまとった本物は圧倒的な存在感です。このLPのジャケットもCDケースに入ってしまうと雰囲気が全然違うのではないかな,とそんなことを思いました。


 展示の最後の方に,「1970年代にデザインの勉強をしていた学生の部屋」というのが再現されていて,机の上には製図板と並んでオリベッティのレッテラ32。グレーに近い色で写ってますが,もっとブルーに近い色でした。こんな色を選ぶなんて,さすがはデザイン専攻の学生さん。もしや美術館の学芸室とかに実在する人だろうか,だとしたら,今は何才くらいだ?とこれは余計なこと。

0 件のコメント: