2018-09-02

2018年8月・9月,東京汐留ほか,河井寛次二郎展,縄文展,琉球展,ゴードン・マッタ=クラーク展

 急に涼しくなってきて,暑かった今年の夏のあれこれを整理中(怒涛の勢い)。話題の展覧会や印象に残った展覧会を3つ,夏の忘備録として。
 
 汐留のパナソニック汐留ミュージアムで「没後50年 河井寛次郎展」。極私的な思い入れとして,河井寛次郎は一点所有していて,京都の河井寛次郎記念館に鑑定と桐箱作成を依頼しに出かけたことがあるのです。
 
 なので,ついつい「好き」という基準と「モノとしての価値」を混同してしまうのだけれど,ああ,いいなあと思うものの前に立つと自然と頬がゆるんできてしまう。意外だったのが,詩を書く人だったのか,ということ。「好きなものの中には必ず私はゐる」。写真撮影可のものも多かった。鉄釉抜蝋扁壺をアップで。
  サントリー美術館では「琉球 美の宝庫」展を。2015年に,町田市立博物館で「沖縄の工芸」展を見た記憶も鮮明です。今回は琉球王国の美が,東アジアとの交易,土着の信仰,薩摩藩との関係などなど,歴史のうねりの中に位置づけられて展示されていて,一編の小説とか映画を見るようでなんとも刺激的。町田市立博物館で感激した美しい琉球漆器の数々も堪能。メインイメージになっている王冠も,その威厳に満ちた美しさに圧倒されます。
 
 最後にもう一つ,この夏の話題だった「縄文展」を東京国立博物館で。「1万年の美の鼓動」とか「ニッポンの,美の原点」とか,大変だわ,こりゃ。という感じの展覧会でした。展示の最後の,柳宗悦ら民藝の作家たちが愛玩した像たちとか,岡本太郎が撮影した縄文土器写真とか,「位置づけられたもの」としては美しいなあと思ったけれど,土偶や土器は遺跡資料館みたいなところで「発掘品」として見るほうが楽しいなあと思ってしまった。これだけ盛り上がってる展覧会でそんなことを考えてしまうのは不埒者ですな。
 
 平成館企画展示室で開催されていた「平成29年度 新収品」展示は面白かった!インドネシアの影絵芝居人形「ワヤン・クリ デウォブロト」,梅若家伝来「能面 伝山姥」などなど。
 
 追加でもう一つ。東京国立近代美術館で「ゴードン・マッタ=クラーク展」を。ビルディング・カットの写真や模型展示に度肝を抜かれました。映像も多く,会場のデザインがとてもかっこいい。屋外の「ごみの壁」は東京で再作成されたもの。そして一番印象に残ったのは,クラークの弟の死についてのエピソードだったかもしれない。



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