2012-09-19

2010年5月,ロンドン追想,大英博物館

 「冗談」(ミラン・クンデラ)の表紙カバー写真「ザンビアのロツィ族の竪琴」の全体の形や大きさが気になってきました。[個人蔵]とあるのでこの竪琴そのものを探すのはまず無理そう。

 調べてみるとロツィLoziは現在では「ロジ族」と表記されるのが一般的のようですが,竪琴や木彫などの情報は見当たりません。国立民族学博物館(大阪)の収蔵品データベースをあたってみると,「ロジ族の木琴」なるものは見つかったのですが残念ながら「画像データなし」。

 書棚でアフリカ美術関係の本を探したら「異文化へのまなざし」展(世田谷美術館, 1998年)の図録が見つかりました。大英博物館と国立民族学博物館のアフリカ,オセアニア関係のコレクションが中心ですが,やはりページをめくれどLozi族に関連するものは見当たらず。

 がっかりしていたら「イフェ王国の王『オニ』の真鍮製頭像の複製」のページが目に留まりました。そういえば,2010年に大英博物館を訪れたときにThe Kingdom of IFEという特別展でこの頭像を見た!イフェ IFEはナイジェリアの内陸部にある町の名前です。
(LUMIX DMC-F32で撮影)

 何しろ広大な館内を歩き回って,この特別展はあまり印象にも残らず,解説もよく読んでいませんでした。今回この図録を読んで,この頭像が大英博物館に収蔵されるまでのまるでミステリーのような経緯をはじめて知って,得した気分。

 Lozi族の竪琴は謎のままですが,2年前の楽しかった旅を思い出して,ご機嫌です。これもクンデラの小説のおかげ,と考えたところで,やはり私も動く歩道を逆走しているなあと思い至ったのでした。